あいさつ運動の意味と進め方|地域や学校で使える工夫も紹介
気持ちのよいあいさつをされると、自然と笑顔になり良い一日が始まりそうな気分になります。地域や学校でのあいさつ運動は、どのようなことから始めたらよいのでしょうか。あいさつ運動の目的や手順、期待できる効果や工夫について説明します。
あいさつ運動の目的は?
あいさつ運動を行うことで家庭、学校、地域など人と人、社会全体のつながりや信頼を深め、助け合いの心を育てることができます。
また、あいさつ運動が習慣化されていくと、防犯や非常時のコミュニケーションにも効果を発揮し、よりよい社会の環境が整います。
あいさつ運動の手順
あいさつ運動は思い立ったからといってすぐに始めるのではなく、きちんと手順を決めて行うことが大切です。
①あいさつ運動を行う人・時間・場所を定める
まず始めに、「誰が」「いつ」「どこで」あいさつ運動を行うのかを決めましょう。人、時間、場所を決めることで誰に向けてあいさつ運動を行うのかについても明確になります。
◆誰が
学校の場合は生徒会や児童会、PTAなど、地域の場合はボランティア団体や防犯パトロール隊などが行うことが多いでしょう。
毎回学校の一部の人が行うのではなく、部活動ごとや上級生と下級生の代表を決めて行うなど、変化をつけるとあいさつ運動も新鮮に感じるかもしれません。部活動単位で行うことでそれぞれの部の結束力も高まる、上級生と下級生が関わることで上級生は下級生のお手本になるようにあいさつすること、下級生は上級生を見習って良いところを学ぶなど相乗効果が期待できます。
◆いつ
学校の場合は登下校の時間帯、地域の場合は朝出社する時間帯など多くの人と接しやすい時間を選びましょう。
◆どこで
学校の場合は通学路や校門前などで、地域の場合は駅前などで行うことが多いです。個人の家の前などは迷惑になる可能性があるので避けた方が良いでしょう。
②あいさつ運動を告知する
次にあいさつ運動の日時や場所を告知しましょう。のぼりやたすき、横断幕やポスターなどあいさつ運動をしていることが周知できるオリジナルのアイテムを活用しても良いでしょう。デザインを統一したものにすると団体で活動しているということが認識されやすくなり、また、アイテムを使用するとあいさつ運動をする側の人達のモチベーションもアップします。遠くからでも見やすい明るい色ののぼりやたすきにすると元気や活気のあるイメージを演出できるでしょう。
他に防災無線などを使用して地域の住民にあいさつ運動をお知らせする方法もあります。
③実際にあいさつ運動を行う
いよいよあいさつ運動を行います。学年や年齢関係なく、様々な人に対してあいさつしてみましょう。子どもたちは恥ずかしさもあり、なかなか始めは声が出ない人も多いかもしれません。大人が率先してあいさつの見本をみせてあげることも大切です。
学校ではかっこよく大きな声であいさつをしている上級生を見て、下級生も見習おうという気になってくるかもしれません。あいさつをすると気分も良くなってきて、一日がんばろうという意欲がわいてくるのがわかるでしょう。あいさつをされた側も嬉しくなり、自然と笑顔になるはずです。あいさつによってその場の雰囲気が明るくなることを実感するかもしれません。
④活躍した人や団体には表彰状やご褒美をあげる
毎日あいさつをがんばった人や素敵なあいさつができた人、団体には表彰状やバッジなどプレゼントをあげることもモチベーションアップや、あいさつ運動が長く続く秘訣になります。
子どもにはオリジナルのあいさつカードを作成してスタンプを押したり、シールを貼ったりしても良いでしょう。
あいさつ運動で期待できる効果
あいさつ運動でどのような効果が期待できるのでしょうか?あいさつすることで生まれる様々な良い変化について見ていきましょう。
コミュニケーション能力が上がる
あいさつをすることで学校内や地域内でのコミュニケーションが円滑になり、コミュニケーション能力も向上します。知らない人に対してあいさつをすることに慣れてくると、人に話しかけることに抵抗が少なくなり、積極性が上がることで自発的な発言や行動が増えます。また、「ありがとう」や「ごめんなさい」もあいさつに慣れていると自然と口に出しやすくなるといった効果も期待できます。
家庭内でもあいさつを続けていくと子どもが大人に対して積極的に話しかけることができるようになり、会話が増えるので親子関係が良くなるでしょう。
社会で対人関係を円滑にするために必要なスキルを身につけるソーシャルスキルトレーニング(SST)としてもあいさつ運動は役立ちます。
あいさつはコミュニケーションの第一歩であり、気持ちの良いあいさつができるようになると、子どもが将来社会に出て良い人間関係を築く際のきっかけになるはずです。
いじめや問題行動の防止につながる
あいさつが習慣化され、校内のコミュニケーションが活発になるといじめや問題行動などの抑止にもつながります。子ども同士で喧嘩をして仲直りのきっかけがつかめずに何となく距離ができてしまったとき、あいさつをすることで緊張が解け、また仲良くできることもあるかもしれません。
あいさつの仕方などから教師や友達が相手の体調や気分を察知しやすくなり、いじめの早期発見もしやすくなります。
地域との交流が活発になる
地域の人も交えてあいさつ運動をすることで地域の人同士の交流が活発になります。地域の人や保護者が学校への理解や関心を深めるきっかけづくりにもなるでしょう。
あいさつ運動で地域住民同士のネットワークが形成されることで、防犯や防災につながります。逆に他人に無関心であることが犯罪に気づかない社会、犯罪を実行しやすい社会を生んでしまうのです。
不審者は顔を見られることや話しかけられることを嫌うので、あいさつが積極的にされている環境には不審者は出現しづらくなるのです。
あいさつで助け合いの心や相手を気遣う心が生まれ、日常的にコミュニケーションがスムーズである環境がバリアとなり犯罪の起きにくい社会をつくることができるでしょう。
地域の交流が活発になると、おのずと子どもの登下校時の安全も確保することができます。
あいさつ運動の工夫
あいさつ運動は決まった人、団体が繰り返し行っているとマンネリ化してきたり、他の人は関心がわきにくくなったりしてしまうことがあります。そのような事態を防ぐために、次のような工夫をしてみるのをおすすめします。
・週番制にする
毎週、毎月、2名ずつ各クラスからあいさつ当番を決めましょう。やる人、やらない人が偏らないようになるべく多くの生徒が参加できるようにしてみましょう。
・上級生と下級生でグループを構成する
上級生だけが行うのではなく、上級生と下級生が同じグループで活動することで上級生は下級生にやさしく指導すること、下級生は上級生のようにあいさつをするにはどうすればよいかを学ぶことができます。普段あまり接点がなくても、あいさつ運動をきっかけに交流が生まれ、学年やクラスを超えたコミュニケーションの社会が作られます。
・ご当地キャラクターが保育園や幼稚園、小中学校を訪問して啓発活動をする
その地域のご当地キャラクターがあいさつ運動をしていると子どもたちは興味関心を向けやすく、積極的にあいさつすることでしょう。
まとめ
あいさつは基本的なことでありながら、きちんとできているという人は少ないかもしれません。
あいさつ運動をするとすがすがしい気持ちになり、自然と笑顔になります。
まずはあいさつ運動をする人、場所、時間を決め、告知をしてからあいさつ運動を実行しましょう。あいさつがよくできた人に対してシールやバッチなどのプレゼントを用意してもモチベーションアップにつながります。
あいさつ運動をすることによって、人と人とのつながりを深め、信頼関係を築くことができます。また、学校や地域のコミュニケーションが活発になることでいじめや犯罪の抑止効果も期待できるのです。あいさつは相互理解や助け合いの心を生み、より良い社会環境をつくるきっかけになるでしょう。